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信州の鏝絵に見る左官職人の技-6   信濃国分寺の謎の鏝絵

信濃国分寺、正式には天台宗八日堂信濃国分寺ですが、ここの本堂の奥に宝蔵と呼ぶ蔵があります。   

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その漆喰壁いっぱいにすばらしい鏝絵が描かれています。全体が金色で塗られていて、時折陽射しを受けて輝いて見えます。          

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この鏝絵、なに故に国分寺に鏝絵なのか。誰(何という左官職人)が描いたのか、はたまた何を描いたものか、どんな意味を持っているのかなど判然としない謎が多くあります。                              

分かっているのは、この蔵が造られたのが明治30(1897)年ということくらいです。 すなわち、この鏝絵の制作年が分かっているだけということです。

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鏝絵は鏝を使って漆喰を盛り上げ、彩色した漆喰を上塗りします。乾燥しきった壁では付きが悪く、壁が生乾きの間に一気に仕上げなければなりません。

こうしたことからすると、よくこれだけのものを描いたものだという 技量の確かさ、あるいは卓越した芸術性の高さといったものに目を奪われてしまうのではないでしょうか。 

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杖を手にした仙人でしょうか、いや身成りからいって僧侶でしょうか。

手にしているのは杖ではなく蛇のようにも見えますし、坐っている前にあるのは供物なのでしょうか?

下の台座は、馬の横顔を模っているようにも見えます。

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身体は人間ですが、背に羽があります。顔は鳥です。これは一体どういうことでしょうか。                     

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壺を持った僧でしょうか?                               
龍を操っているのでしょうか、それとも親しげに会話しているのでしょうか?

アラジンと魔法のランプの話を思い浮かべてしまいます。

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明治の後期に、この作者は何を想定してこの鏝絵を残したのでしょうか?

じっと見ていると理解しがたい造形、分からないことが、また増幅されてしまいます。114年の星霜を経て今もしっかりと残っています。

後日、中国の故事などについて詳しい服部正実さん(京都府在住)から、この鏝絵をご覧になった感想とご指摘をいただきました。

「金色の鏝絵とは豪勢ですね。左右にいる二人はおそらく僧で、ひょっとしたら同一人物が一画面に描かれている可能性もあります。
右の人物は鉢から竜を出しているのか、鉢に竜を閉じ込めているのか、どちらかだと思いますが、わからないのは左の鳥人間です。この異様なものは一体なんでしょうね。
おそらく中国の天台宗の高祖か何かの仏伝に出てくる話でしょうが、よくわかりません。なお、左の僧の持っているものは『如意』というものです」

となると、この鏝絵をモノにした職人さんは難解な仏伝をよく理解し、鏝一本でこれだけの大作を描いたことになります。博学で聡明な職人さんだったのでしょうか?

                           

                     

                                                                                             

 

                               
                  

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