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信州の鏝絵に見る左官職人の技-5    「千人風呂」の外壁に描かれた洋風鏝絵

諏訪市に国の重要文化財で「片倉館」という洋風建造物があります。

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ここは絹製品の製造で巨万の富を得て「シルクエンペラー」と呼ばれた片倉財閥が、地域への恩返しとして造った厚生施設です。

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厚生施設というのは、「千人風呂」の名称がある温泉浴場です。100人は入浴できるという湯舟があり、今も市民や観光客に利用されています。

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この片倉館の壁に古代ギリシア、ローマの柱頭装飾などにみられる植物・動物文様などいろいろなバリエーションの鏝絵が施されています。

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動物文様として鷲がよく図案化されますが、ここにもロータス(蓮)とともに鷲が描かれています。

そして、熊です。穏やかな表情ですが、通常、熊が描かれることはめったにありません。

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植物では、パルメット、ロータス、ロゼット、松かさなどが装飾図案として用いられてきたようですが、上に描かれているのはパイナップルのような果樹でしょうか。

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こちらは、パルメット(ナツメヤシ)のようです。アラブの世界では生命の樹、あるいは富の象徴として表現されたりします。

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この片倉館の竣工は昭和3(1928)年、2代目当主が欧米視察で目にした地方都市の充実した福利厚生施設に感銘し、着工に踏み切ったといいます。

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千人風呂は近隣の製糸工場で働く女工さんたちが、その日の仕事を終えてから大勢やって来て一日の疲れを癒したといいます。

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鏝絵が刻まれている壁材はモルタルですが、左官職人が鏝を駆使して描いたもので、さまざきなモチーフを実にみごとに描き切っています。

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窓ガラスが澄み渡った青空のように鮮やかですが、これはステンドガラスをはめ込んだ上げ下げ窓で、モルタル壁のレリーフ(鏝絵)、スクラッチタイル壁など巧みに細部までいろいろな工法、様式を組み合わせていて見るものを飽きさせません。

* 片倉館のWebは、こちらです。


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