信州の瓦鍾馗を探して-18 ついに探し当てた松本市街区の鍾馗さん
いったい、これまでにどのくらいの日時を費やしたのでしょうか。松本の中心市街地での瓦鍾馗探索の時間です。
松本は城下町ですが、善光寺西街道の宿場もあったところです。築城の際は、瓦葺きに三州から職人が大勢来たという古文書も残っていますし、今も瓦葺きの家が数多くあります。
ですから瓦鍾馗や装飾瓦もあるはずという期待があり、あちこち回っているのですが、これまでのところ探し当てていません。
この日も、やはり同じ結果になりそうでした。「松本は鍾馗さん不在の地だな」とつぶやきながら帰ろうとしましたが、ふと思い立って中心市街地から離れた里山辺方面へ向かいました。美ヶ原温泉の旅館街がある一帯です。
ここにある老舗旅館のサイトに、開業の経緯について書かれていています。創始者は、もともと瓦屋で仕事中屋根から落ちて仕事ができなくなり静養、まもなく敷地内に源泉の湯脈があることから温泉宿に鞍替えしたという話が載っています。
ということは、瓦屋を営んでいた大正年間、近隣にも鍾馗さんを納めたものが残っているかもしれないと思ったことからです。
目を凝らして探索に入りました。そして間もなく、ありました。いかつい鍾馗さんが! 思わず「あった!」と大きな声を上げてしまいました。
この瞬間を待ちわびていましたし、内心、報われた思いと満足感でいっぱいになりました。
そして、こちらがもう一方の軒に対で上がっていた鍾馗さんです。
さらに、もう一体。別の家の玄関近くにも屋根から降ろされた鍾馗さんがありました。
前にある石像も気になるのですが、後ろにある瓦です。チャイムを鳴らしたのですが留守のようで中に入れず確認できません。ズームアップして見ると、鍾馗さんに間違いないようです。
さっそく鍾馗研究家の小沢正樹さん(愛知県在住)から軒に上がっていた2体の鍾馗さんについて「ぶっ飛びました!アヴァンギャルドですね。すごい、すごい」と印象を寄せていただきました。
そして気になっていた石像については、「ラクササというバリ島の神様です」と教えていただきました。
近年合併した旧四賀村などを除いた松本市の市街区は「鍾馗さん不在の地」と思い込んでいたのに、一挙に3体と巡り合えるなんて…。
この日は、記念すべき探索の一日となりました。
* 探索のヒントをいただいた老舗旅館のサイトは、こちらです。
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