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安曇野の鏝絵-3  重厚な蔵に描かれた可憐なウサギ

この街区では交通量が多く、道幅もそう広くない道路に面して建つ蔵があります。保護用のフェンスで海鼠壁の部分が隠れていますが、どっしりとした重量感のある蔵です。旧南安曇郡梓川村(現松本市)の県道沿いにあります。

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明かり取りの蔵窓に庇がかかり瓦で葺かれています。その窓下の小枠部分にかわいい兎の鏝絵があります。

波間を跳ぶ兎です。左官職人の遊び心でしょうか。重厚感のある造りの中に、こんなかわいい兎をはめ込むセンスの良さに感心します。

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波間を跳ねるウサギを描いていますので、モチーフは「因幡の白ウサギ」伝説になります。波は水を表し火事除け祈願、ウサギは多産・安産なことから子孫繁栄を願って描いたものでしょう。

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同じ職人さんが制作したものと思われるウサギの鏝絵が、旧南安曇郡安曇村(現松本市)にもありました。同じく蔵窓の下です。

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こちらのお宅は昔、鍛冶屋だったそうです。鍛冶屋といえば火を使いますが、火災防止、子孫繁栄を祈願して飾ったものでしょう。

施主からの依頼だったのか、壁塗りの仕事を任されたお礼として絵心のある職人が鏝絵を施主に贈ったこともありますので、職人さんの志だったのかは分かりませんが気持ちの和む鏝絵といってよいのではないでしょうか。

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二つの蔵の鏝絵は、大きな波のうねり、左右の波しぶき、波を見ながら跳ねる兎の姿、そしてフレームの切り方までが同じです。

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ところで鏝絵は、下絵を板に写し、鏝で漆喰を塗り重ねたり削ったりして描いていきます。この時、いろいろな形や大きさの違う鏝を用います。

これを制作した左官職人さんは同じ下絵を使って、この鏝絵を描いていることが分かります。

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