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子育て地蔵~三郷・二木

むかし、二木沢近くに、長三は年とった母親と二人で住んでいました。少しばかりの田畑を耕し、暇を見つけては他所(よそ)の手伝いをするなど、それはそれはよく働きました。暮らし向きも少しずつ良くなったので、嫁さんを迎えました。

やがて、嫁のはつに子どもができ、お産のために実家へ帰りました。ところが、とても難産で子どもは生を授かることなく、はつは産後の肥立ちが悪く床についてしまいました。       

肩を落とした長三は仕事が手につかなくなり、いつしか酒を飲み、家でぶらぶらしている姿が目につくようになりました。

ある日のこと、酒に酔いつぶれた長三が道端に寝ころんでいると、通りかかった和尚さんが「さあ、起きなされ。昼間から酒を飲んで寝ていてはいかんのう。わしと堂まで行きなされ」と諭して、地蔵堂まで連れていきました。

     Photo               (二木の十字路の一角にある地蔵堂)

そして、茶を飲ませ酔いを覚まさせてからいいました。「あれほどの働きものだった長三さんが、こんな荒れた生活をしてはいかん。もう一度、子が授かるようにわしがお地蔵さまにお願いしてみよう。あのお地蔵さまの下には、お経が埋めてあるから、きっと願いを聞き届けてくれようよ」との言葉に、長三は喜びました。       

「わしはすぐにお経をあげるから、長三さんも仕事に行きなされ」といわれ、長三はふたたび働く望みが出てきました。それから長三は以前のように毎日働き、やがてはつも元気になって戻って来ました。

しばらくすると、はつが二度目の子どもを身ごもったことが分かったので、長三は地蔵堂の和尚さんのところへ行きました。「女房が身ごもりましたので、どうぞ今度は安産のお願いをしてくれねえかい」とお願いしました。

和尚さんは「そうか、そうか。それは良かったのう。さっそく延命地蔵尊にお願いするとしよう。それで、長三さんは、おはつさんと赤ん坊のよだれかけを作り、お地蔵さまにお願いしてかけるのじゃな」といいました。

     Photo_8   (お地蔵さまに赤いよだれ掛けと帽子がよく似合うのかもしれません=三郷・慈光院で)

長三ははつと一緒によだれかけを作り、地蔵さまによだれかけを掛けてお参りを続けました。それから、半年ほどして、はつは元気な男の子を、さほどの苦しみもなく産みました。母親も初めての孫の顔を見てたいへん喜び、長三はうれし涙を流しました。赤ん坊は毎日元気な声で泣き、家の中は明るさにあふれていました。       

長三は、はつによだれかけを作らせ、赤ん坊を抱いて地蔵堂へ行きました。「和尚さま、おかげさまで元気な男の子を授かりました。ありがとうごぜえました」といって、なんどもなんども頭を下げました。

和尚さんは「良かったのう。これも延命地蔵尊のおかげじゃ」というと、長三は「和尚さま、また一つ頼みを聞いておくれや。この子が丈夫に育つようお地蔵さまにお願いしてくれねえかい」と、親としてのお願いをしました。和尚さんは快く引き受けてくれました。

長三とはつは、持ってきたよだれかけをお地蔵さまに掛け、お米とわずかばかりの心をこめたお金を供えて、足取りも軽く家へ帰りました。

                                  Photo_2(地蔵堂前に道祖神が祀られています。これも願いがかなって寄進されたものかもしれません)

このことを聞いた村の人たちは、お産の日が近づくと願いをこめてよだれかけを作り、お地蔵さまに掛けてお願をするようになりました。

そして、お産が無事にすむと、お礼に新しいよだれかけを掛けにくるようになったといいます。それから、このお地蔵さまを「子育て地蔵」と呼ぶようになりました。

 

                   * 『あづみ野 三郷の民話』(平林治康著)を参考にしました。

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